管理栄養士 過去問
第39回
問63 (午前の部 問63)
問題文
食品の保存に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
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問題
管理栄養士試験 第39回 問63(午前の部 問63) (訂正依頼・報告はこちら)
食品の保存に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 質量パーセント濃度が同一であれば、ショ糖より食塩の方が浸透圧を高める効果が大きい。
- レトルト食品の殺菌は、65℃で30分以上行う。
- 水分活性0.9以上において、ほとんどの微生物の増殖は抑制される。
- 無機酸の微生物増殖抑制効果は、有機酸より優れている。
- チルドとは、食品を半凍結状態で貯蔵することである。
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この過去問の解説 (3件)
01
食品の保存において、菌の育成温度や水分活性、浸透圧を把握して利用することはとても有用であり、食品の安全性を高めるために重要な知識・手法となります。
正解です。
質量パーセント濃度が同一のとき、ショ糖より食塩のほうが浸透圧を高める効果は大きいです。
質量パーセント濃度とは、『溶液中に物質がどの程度溶けているか』であり、これが同一ということは、『ショ糖と食塩は、各溶液に同じ分量ずつ溶けている状況』ということになります。
ショ糖と食塩では食塩のほうが分子量が小さいため、同濃度にするには食塩のほうがより多くの分子量を必要とします。
不正解です。
レトルト食品の殺菌温度の規定は、120℃4分以上とされています。
不正解です。
水分活性0.9以上では、ほとんどの微生物の増殖が抑制できなくなります。(増殖する)
水分活性が低くなるほど乾燥している状況と言え、微生物は水分活性が高いほど増殖しやすくなります。
殆どの食中毒菌:0.94以上
黄色ブドウ球菌:0.86以上
カビ:0.80以上
不正解です。
有機酸のほうが、微生物増殖抑制効果が優れています。
無機酸はpH低下により菌の生育を抑制しますが、
有機酸はpH低下とともに菌体内へ浸透し酵素系を破壊することで、より強い生育抑制を行います。
有機酸の例としては、酢酸・乳酸等が挙げられます。
不正解です。
チルドとは約0℃で食品温度を保つことであり、凍結とは異なります。
他、パーシャルは-3℃の半凍結を指し、冷凍は一般に-18℃以下とされます。
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02
選択肢「質量パーセント濃度が同一であれば、ショ糖より食塩の方が浸透圧を高める効果が大きい。」において、食塩は水中でイオンに解離して粒子数が増えるうえ、分子量が小さいため、同じ重さで溶かしたときにより多くの粒子をつくり、浸透圧が上がりやすいです。他の選択肢は、温度条件や定義、微生物制御の基本原理を取り違えています。
浸透圧は溶液中の粒子数に比例します。食塩(NaCl)は水中でNa⁺とCl⁻に解離して粒子数がほぼ2倍になり、しかも分子量がショ糖より小さいため、同じ質量%でもより高い浸透圧になります。適当です。
レトルトは密封容器に入れたまま高温高圧で加熱(おおむね120℃前後)して商業的無菌を狙う方法です。65℃・30分は低温殺菌(パスチャライゼーション)のレベルで、レトルトの条件ではありません。不適当です。
多くの一般細菌はaw0.91以上で増殖し、酵母やカビはさらに低いawでも増殖できるものがあります。増殖抑制が顕著なのはawを0.85以下、さらに0.6近くまで下げた領域です。不適当です。
酢酸・乳酸・プロピオン酸などの有機酸は、未解離型が細胞内に入りやすくpHを下げるため、抗菌効果が高いです。無機酸(塩酸・硫酸など)は同じpHでも効果が相対的に弱いことが多いです。不適当です。
チルドは一般に0〜10℃程度の低温での冷蔵を指します。半凍結はサブフリーズやパーシャルフリージングの領域で、チルドとは異なります。不適当です。
食品保存のポイントは、
・浸透圧(粒子数と解離)
・水分活性(awが低いほど微生物は増えにくい)
・温度条件(レトルトは高温高圧、低温殺菌は別物)
・酸の種類(有機酸の未解離型が有効)
・用語の定義(チルドは冷蔵帯)
です。
特に、同じ質量%なら食塩のほうが浸透圧を上げやすいという関係を押さえておくと、塩蔵や砂糖漬けの保存効果の比較問題に対応しやすくなります。
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03
食品の保存は覚えることが多いですが、過去問を解いて傾向を押さえておきましょう。
正解です。
質量パーセント濃度が同一のとき、ショ糖より食塩のほうが浸透圧を高める効果は大きいです。
不正解です。
レトルト食品の殺菌温度の規定は、120℃4分以上です。
不正解です。
水分活性0.9以上では、ほとんどの微生物は増殖します。
不正解です。
有機酸のほうが、微生物増殖抑制効果が優れています。
不正解です。
チルドとは、食品を約0〜5℃の比較的低い温度で「凍結させずに」貯蔵することです。
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