管理栄養士 過去問
第39回(2025年)
問184 (午後の部 問87)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

管理栄養士試験 第39回(2025年) 問184(午後の部 問87) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

K総合病院の在宅診療部に勤務する管理栄養士である。患者は、76歳、独居男性。脳梗塞後遺症により要支援1。嚥下機能に問題はない。高血圧症のため通院加療を続けていた。最終通院時、血圧112/68mmHg、身長167cm、体重62kg、BMI22.2kg/m2
1週間前に、発熱、咽頭痛が生じ、近医を受診したところ、新型コロナウイルス感染症と診断された。自宅での薬物療法により、発熱、咽頭痛は改善された。解熱鎮痛薬服用6日目に、心窩部痛と食欲不振が出現した。翌日になっても症状が改善しないため、近医から当院に連絡があり、担当医が男性宅を訪問し、診療した。
口渇を訴えているものの、心窩部痛があるため市販のゼリー飲料と経口補水液のみを摂取していた。尿検査を行ったところ、濃縮尿であった。入院加療の必要性はないと担当医が判断し、在宅で加療することとなった。

この時点での対症療法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 経鼻胃管栄養法
  • 胃瘻栄養法
  • 末梢静脈栄養法
  • 中心静脈栄養法

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

栄養投与ルートは、患者の状態に合わせて適切に選択することが求められます。

 

一般的に、経口摂取以外の何らかの栄養投与ルートの確保が必要と判断された場合、

消化管を安全に使用できるか

②使用できる場合経腸栄養

 →短期間(概ね4週間以内):経鼻経管栄養

 →長期間(概ね4週間以上):胃瘻・腸瘻

③使用できない場合経静脈栄養

 →短期間(概ね2週間以内):末梢静脈栄養

 →長期間(概ね2週間以上):中心静脈栄養

のように検討します。

 

ただし最低限の必要エネルギー量が確保できている場合等は、消化管が使用できる場合であっても末梢静脈栄養を選択をすることもあります。

 

特に経鼻胃管の挿入や胃瘻造設、中心静脈栄養のためのCVポート増設等は患者の身体的・精神的負担も大きくなるため、状況に合わせた慎重な判断が求められます。

選択肢1. 経鼻胃管栄養法

✕ 不正解です。

心窩部痛があり食欲不振が出現しているが、市販のゼリー等の摂取はできていること・摂取不良が長期に渡っていないことより、今すぐに負担の大きい経鼻胃管を挿入する必要はありません。

選択肢2. 胃瘻栄養法

✕ 不正解です。

まず胃瘻を増設する必要性があり身体的・精神的負担を要します。摂取不良の期間がそこまで長期に渡る見込みも現時点では考えにくいことから、胃瘻造設は勧めません。

選択肢3. 末梢静脈栄養法

○ 正解です。

現在食事摂取不良が継続しているが、処置によっては短期間に回復してくる見込みがあると考えられます。

 

判断要素として、

・嚥下障害はなく、普通食を十分に摂取できる状況であること

・BMI22.2であり、痩せは無い。よって、これまで十分な食事摂取ができていたであろうという予測ができること

・内服による一時的な影響だろうという予測ができること

・濃縮尿であり、脱水が示唆されること

 

上記より、一時的な末梢静脈栄養からの水分補給にて、改善見込みがあると判断できるためです。

選択肢4. 中心静脈栄養法

✕ 不正解です。

末梢静脈栄養の項目での記載の判断基準通り、長期間にわたる食事摂取不良には陥らないだろうという現段階予測より、中心静脈栄養の選択はしません。

参考になった数13

02

一般的に消化管が使用な場合は静脈栄養は選択しないことが多いですが、最低限の必要エネルギー量が確保できている場合等は、消化管が使用できる場合であっても末梢静脈栄養を選択をすることもあります。

 

この患者の場合、BMIなどからコロナ罹患前の必要エネルギー量は確保できていたことが読み取れます。

摂取量不足、濃縮尿であることから水分補給を行うことが第一優先と考えるのが自然です。

 

選択肢1. 経鼻胃管栄養法

×不正解です

経鼻胃管は経口摂取が困難な場合や長期的に経腸栄養が必要な場合に選択します。

この患者の場合、嚥下機能に問題がなく経口摂取が可能です。

一過性の栄養・水分補給のための経管栄養法なので、経鼻胃管は侵襲など患者の負担が大きく不適切です。

 

選択肢2. 胃瘻栄養法

×不正解です

胃瘻は長期の経腸栄養が必要で、外科的処置を伴います。

在宅で一時的な摂取不足・脱水を補う状況には過剰であり不適切です。

選択肢3. 末梢静脈栄養法

正解です

末梢静脈栄養は短期的に点滴で水分やエネルギーを補給する方法です。

中心静脈栄養に比べ侵襲が小さく在宅や外来での短期間の補助に向きます。

この患者の場合、入院不要で短期間の水分・栄養補給が目的であるため、経口で十分摂れない場合の対症療法として最も適切です。

選択肢4. 中心静脈栄養法

×不正解です

中心静脈栄養は消化管が使えない状態で長期または高度に栄養管理を要する場合、あるいは末梢静脈からの投与が困難な高浸透圧輸液が必要な場合に用います。

この患者の場合過剰に侵襲的で不適切です。

まとめ

≪経管栄養法の判断基準≫

まず経口摂取の可否を最優先に判断します。

嚥下機能が保たれていれば、経口摂取を基本とします。

消化管が使用できる場合は積極的に静脈栄養を選択しません。

 (この問題のような一時的な摂取不足には、経口補水+末梢静脈栄養(PPN)で対応する場合もあります。)

 

・経鼻胃管:短期(〜4週間)だけ経腸栄養が必要な場合に選択。

・胃瘻(PEG):長期 (>4週間) の経腸栄養が必要なときに選択。外科的処置が必要です。

・中心静脈栄養(TPN):経口摂取・消化管の使用が不可能で、高度・長期の栄養管理が必要な場合のみ選択します。

・末梢静脈栄養(PPN):短期間の水分・電解質補正、軽度の栄養補給、在宅でも実施可能で、侵襲性が低いです。

 

侵襲が高いものほど患者の身体的負担が大きくなるため最後に選択します(経口 → 経腸 → 静脈 の順)。

参考になった数0

03

「末梢静脈栄養法」が最も適切です。
口渇と濃縮尿があり、食欲不振で経口摂取が不十分です。

一方で嚥下機能は保たれており、入院は不要と判断されています。

まずは短期間の補液(必要最低限のエネルギー補給を含む)で全身状態を整えるのが適切で、侵襲が小さい末梢静脈ルートの選択が最も妥当です。

選択肢1. 経鼻胃管栄養法

鼻からチューブを入れて胃に栄養を入れる方法です。

嚥下機能に問題がある、あるいは口から安全に十分量がとれない場合に検討します。

本例は嚥下は可能で、症状は一過性の食欲不振が中心です。

侵襲・負担が大きく、現時点では過剰です。

選択肢2. 胃瘻栄養法

長期にわたり経口摂取が難しいときに外科的に胃に孔を作る方法です。

急性期の一時的な食欲不振に対する対症療法としては不適切です。

選択肢3. 末梢静脈栄養法

短期間の補液・栄養補助に向き、侵襲が小さく在宅でも導入しやすい方法です。

口渇・濃縮尿が示す脱水傾向を是正しつつ、必要最低限のエネルギーも補えます。

腸管機能は保たれているため、状態が改善すれば速やかに経口へ戻す前提で用いるのに適しています。

選択肢4. 中心静脈栄養法

長期・高濃度の栄養投与が必要、または消化管が使えない場合に選びます。

カテーテル感染や血栓などのリスク・管理負担が大きく、外来在宅の一時的対症療法としては過剰です。

まとめ

今回は脱水是正と一時的な栄養補助が目的です。

末梢静脈栄養法で全身状態を整え、心窩部痛の原因薬(解熱鎮痛薬など)の見直しや消化器症状の軽減を図りながら、経口(経口補水液・消化にやさしい飲食)へ段階的に戻す流れが望ましいです。

長期チューブ栄養や中心静脈は、現状の重症度・期間からみて適応外です。

参考になった数0