管理栄養士 過去問
第40回(2026年)
問6 (社会・環境と健康 問6)

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問題

管理栄養士試験 第40回(2026年) 問6(社会・環境と健康 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

Hillの判定基準において、原因と考えられる要因の曝露と、結果である疾病発症の因果関係を推定するうえで、必要不可欠な条件である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 曝露と結果の間に、強い関連が認められること。
  • 曝露と結果の関係が、異なる集団を対象とした研究で同様に示されていること。
  • 曝露は、結果の発生より前に存在していること。
  • 曝露量と結果の間に、量反応関係が観察されること。
  • 曝露と結果の関係が、既に報告されている因果関係に類似していること。

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この過去問の解説 (2件)

01

◆Hill(ヒル)の判定基準は、疫学において「関連」が「因果関係」であるかを判断するためのガイドラインですが、この問題のポイントは、7つの基準の中で「これだけは絶対に欠かせない(必要条件)」はどれか、という点にあります。

 

【Hillの判定基準】

1.関連の強さ:

相対危険度が高いほうが因果的関連である可能性が高いこと

2.量‐反応関係:

量‐反応関係が認められる場合は、観察された関連性がバイアスや交絡因子で説明できる可能性が低くなること

3.時間的な関係:

原因として疑われている因子が結果である疾病発症よりも前にあること

4.複数の研究結果の一致性(再現性):

複数の研究が、同様の研究結果を示していること

5.仮説の生物学的なもっともらしさ:

仮説が生物学的に認められているメカニズムによって説明できる可能性があること

6.証拠の整合性(類似性):

研究で得られた成果がこれまでの医学知識と矛盾しないこと

7.関連の特異性:

曝露要因がない場合に発症リスクが十分に低いこと

 

◆Hillの判定基準の中で、「時間的な関係(Temporal relationship)」だけが唯一の必須条件とされています。 

「原因(曝露)が結果(発症)よりも先に起こっていること」が満たされない限り、どれほど強い関連があっても、それは因果関係とは呼べません。

・論理的必然性: 

未来の出来事が過去の原因になることはあり得ないためです。

・逆の因果関係の排除:

 例えば「病気になったから、その食品を食べるようになった」という逆転現象を防ぐために不可欠です。
 

このことを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 曝露と結果の間に、強い関連が認められること。

✕不正解です。

 

Hillの基準には含まれていますが、この選択肢は「必要不可欠(絶対になければならない)」ではないため、「誤り」となります。

 

1.関連の強さ】

理由: 

関連が弱くても因果関係があるケースは存在します。

例: 

喫煙と心筋梗塞の関連は、肺がんに比べれば「弱い」ですが、因果関係は認められています。

関連が強ければ因果関係の「可能性は高まる」ものの、必須ではありません。

選択肢2. 曝露と結果の関係が、異なる集団を対象とした研究で同様に示されていること。

✕不正解です。

 

Hillの基準には含まれていますが、この選択肢は「必要不可欠(絶対になければならない)」ではないため、「誤り」となります。

 

4.複数の研究結果の一致性(再現性)

理由: 

最初の研究や、非常に特殊な条件下での研究では、まだ他の集団で再現されていないことがあります。

例: 

新しい感染症の発生初期などは、一致性が確認される前でも因果関係を推定し、対策を講じる必要があります。

選択肢3. 曝露は、結果の発生より前に存在していること。

◯正解です。

選択肢4. 曝露量と結果の間に、量反応関係が観察されること。

✕不正解です。

 

Hillの基準には含まれていますが、この選択肢は「必要不可欠(絶対になければならない)」ではないため、「誤り」となります。

 

2.量‐反応関係

理由: 

「しきい値(ある一定量を超えないと発症しない)」がある場合や、特定の量で反応が飽和してしまう場合、きれいな直線的な関係が見えないことがあります。

例: 

ビタミン欠乏症などは、必要量を満たせばそれ以上摂取しても効果が変わらないため、全域で量反応関係が見えるわけではありません。

選択肢5. 曝露と結果の関係が、既に報告されている因果関係に類似していること。

✕不正解です。

 

Hillの基準には含まれていますが、この選択肢は「必要不可欠(絶対になければならない)」ではないため、「誤り」となります。

 

6.証拠の整合性(類似性)

理由: 

全く新しいメカニズムや、これまでに例のない未知の要因が原因である場合、既存の報告に「類似したもの」がないことがあります。

これは因果関係を補強する材料にはなりますが、必須条件ではありません。

「類似性」は、過去に似たような薬害や病気の例があれば「今回もその可能性が高い」と判断しやすくなる、という基準です。

 

例:

サリドマイドの催奇形性のように、「医学史上で初めて発見される全く新しい原因と結果のメカニズム」である場合、過去に類似した例は存在しません。

したがって、類似性が確認できなくても、因果関係を否定する理由にはならない(=必須条件ではない)のです。

まとめ

Hillの判定基準の多くは、因果関係を「より確からしくする(可能性を高める)」ための材料に過ぎませんが、「3. 時間的関係」だけは、これがなければ因果関係が成立し得ない「絶対条件」です。

疫学の基本として「時間の前後関係」が非常に重視されるので、覚えておくようにしましょう。

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02

Hill(ヒル)の判定基準とは、暴露と疾病に対して、因果関係を明らかにするための判断基準のことです。

9項目の基準があります。

 

強固性:暴露と疾病に関連性があること。

一貫性:様々な場所、時間、集団で同様の結果が得られること。

時間性:疾病よりも前に曝露があること。

量反応勾配:暴露量(期間、量、強さ)が罹患率につながっていること。

生物学的蓋然性:生物学的にも因果が妥当と考えられること

整合性:要因の関連性がいままでの経験や知識と一致していること。

実験的証拠:実験で得られた証拠があること。

類似性:似た因果関係の事例があること。

特異性:暴露が1つの疾病につながっていること。

 

このなかで、因果関係を決定するのに不可欠なものを問う問題です。

選択肢1. 曝露と結果の間に、強い関連が認められること。

不正解です。

強固性が弱いからといって、因果関係を否定はできません。

選択肢2. 曝露と結果の関係が、異なる集団を対象とした研究で同様に示されていること。

不正解です。

一貫性は因果関係の強い証明になりますが、不可欠ではありません。

選択肢3. 曝露は、結果の発生より前に存在していること。

正解です。

暴露(原因)が結果(疾病)より後に来ることはありえません。

因果関係を証明するのに不可欠な項目となります。

選択肢4. 曝露量と結果の間に、量反応関係が観察されること。

不正解です。

必ずしも量と比例して罹患率が上がるわけではないので、不可欠とは言えません。

選択肢5. 曝露と結果の関係が、既に報告されている因果関係に類似していること。

不正解です。

全く新しい原因や疾病の場合満たすことができないため、不可欠とは言えません。

まとめ

Hillの判定基準は“基準に当てはまるものが多ければ因果関係がある可能性が高い”という考え方です。

そのなかで、時間性だけは因果関係を証明するのに不可欠な項目となります。

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