管理栄養士 過去問
第40回(2026年)
問20 (人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問4)

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問題

管理栄養士試験 第40回(2026年) 問20(人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

生体エネルギーと代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。
  • ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。
  • ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。
  • 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。
  • 脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。

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この過去問の解説 (3件)

01

ミトコンドリアでのATP合成に関する問題です。

代謝に関しての問題は頻出問題なので覚えておきましょう。

選択肢1. AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。

不正解です。

高エネルギーリン酸結合を持っていない状態です。

選択肢2. ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。

不正解です。

内膜に存在します。

選択肢3. ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。

不正解です。

カルシウムイオンの濃度ではなく、水素イオンの濃度勾配です。

選択肢4. 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

不正解です。

二酸化炭素が生産されるのはTCA回路(クエン酸回路)やピルビン酸の酸化です。

選択肢5. 脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。

正解です。

ミトコンドリア内膜に存在します。

まとめ

ミトコンドリア内膜でエネルギー(ATP)が生み出されている構図を覚えましょう。

脱共役たんぱく質(UCP)はエネルギーの回路を通さず、熱として放出する特殊な役割を持っています。

脱共役たんぱく質(UCP)は褐色脂肪組織に多く含まれています。

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02

代謝に伴うエネルギーの変換を生体エネルギーと言います。

 

解糖系やクエン酸回路、電子伝達系など理解を深めておきましょう。

選択肢1. AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。

不正解です。

 

AMP(アデノシン一リン酸)はリン酸が1つしかないので、高エネルギーリン酸結合を持たないため、高エネルギーリン酸化合物ではありません。

 

高エネルギーリン酸化合物とは、リン酸同士の結合部分に大きなエネルギーを蓄えている物質のことを言います。

主な高エネルギーリン酸化合物は「ATP(アデノシン三リン酸)」「クレアチンリン酸」「PEP(ホスホエノールピルビン酸)」「1,3-BPG(1,3-ビスホスホグリセリン酸)」「GTP、CTP等」です。

選択肢2. ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。

不正解です。

 

ATP合成酵素は、ミトコンドリア内膜に存在します。

選択肢3. ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。

不正解です。

 

ATP合成酵素は、細胞内外のH+濃度勾配により駆動されます。

選択肢4. 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

不正解です。

 

電子伝達系では、水が産生されます。

二酸化炭素が産生されるのは「クエン酸回路」です。

選択肢5. 脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。

正解です。

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03

本問は、ATPの代謝メカニズムや、ミトコンドリアの構造・機能に関する問題です。

「高エネルギーリン酸結合の条件」と「ミトコンドリアのどこで何が起きているのか」をセットで押さえることが問題を解くコツです。

 

ミトコンドリアとエネルギー代謝の重要事項を、頭の中で1つの絵として思い描けるように整理しておきましょう。

 

💡 1. 高エネルギーリン酸結合の条件

【ピロリン酸結合(酸無水物結合)】:

リン酸とリン酸が結びついた、切れるときに大きなエネルギーを放出する結合のこと。

<該当するもの>

ADP、ATP(およびCTP、UTP、GTP、クレアチンリン酸など)

<該当しないもの>

リン酸が1個のみのエステル結合を持つ。AMP

 

💡 ミトコンドリア代謝の整理シート

●【TCA回路(ミトコンドリアのマトリックス内)】:

二酸化炭素(CO2) が産生される。

●【電子伝達系&ATP合成酵素[ミトコンドリアの内膜(および膜間腔)]】:

駆動源は 水素イオン(プロトン:H+)の濃度勾配。

電子の勢いで水素イオン(H+)を外側の膜間腔(たまり場)へ汲み出す。

その濃度勾配を利用して、内膜にあるATP合成酵素を通ってマトリックスに戻るときに ATP が合成される。

最後に酸素と結びつき、「水(H2O)」 ができる。

●【脱共役たんぱく質(UCP)[ミトコンドリアの内膜(および膜間腔)]】:

 ATPを作らずに 「熱」 を産生する。

選択肢1. AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。

✕不正解です。

「AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。」  が誤りです。

 

【理由】

生化学的な標準的定義において、高エネルギーリン酸結合(酸無水物結合)を持つのはリン酸が2個の ADP や3個の ATP であり、これらは「高エネルギーリン酸化合物」と呼ばれます。 

一方、リン酸が1個の AMP(アデノシン一リン酸) にはピロリン酸結合が存在せず、加水分解時のエネルギー放出量も小さいため、代謝における高エネルギー化合物としては扱われません。

(※書籍によってはアデノシンへのリン酸結合を一括して高エネルギーと表現する例外もありますが、国家試験の判定では「AMPは高エネルギー化合物ではない」が基本ルールとなります。)

 なお、ATP以外の代表的な高エネルギー化合物には、CTP、UTP、GTPや、筋肉中のエネルギー貯蔵として働くクレアチンリン酸などがあります。

 

※ピロリン酸結合(化学的には「酸無水物結合」とも呼ばれます)とは、リン酸とリン酸が脱水縮合してできた結合のこと。

選択肢2. ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。

✕不正解です。

「ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。」  が誤りです。

 

【理由】

 ATP合成酵素が存在するのは外膜ではなく、「ミトコンドリア内膜」だからです。

電子伝達系によって水素イオン(プロトン)がマトリックス側から「膜間腔」へと汲み出され、その濃度勾配(たまり場)を利用してプロトンが内膜にあるATP合成酵素を通ってマトリックスに戻るときにATPが作られます。 

選択肢3. ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。

✕不正解です。

「ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。」  が誤りです。

 

【理由】

 動かしているのはカルシウムイオン(Ca2+)ではなく、「水素イオン(プロトン:H+)の濃度勾配」だからです。

ミトコンドリアの膜間腔に溜まったプロトン(H+)が、濃度勾配(電位勾配)に従ってATP合成酵素を通って流れ込むエネルギーを利用してATPが合成されます。Ca2+ではありません。

選択肢4. 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

✕不正解です。

「電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。」  が誤りです。

 

【理由】

 電子伝達系で産生されるのは二酸化炭素ではなく、「水(H2O)」だからです。

二酸化炭素(CO2)が産生されるのは、クエン酸回路(TCA回路)のステップです。

電子伝達系では、最後に電子と水素イオンが酸素と結びついて「水(H2O)」が生成されます。

選択肢5. 脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。

◯正解です。

 

【理由】

 脱共役たんぱく質UCPはミトコンドリア内膜に存在し、プロトンをマトリックスへリーク(漏出)させることで熱を産生するからです。

通常はプロトンがATP合成酵素を通ることでATPが作られますが(共役)、UCPが存在すると、ATP合成酵素を通らずに直接プロトンが内膜を通り抜けてしまいます。

その結果、ATPの合成に使われなかったエネルギーがすべて「熱」として放出されます(褐色脂肪組織などに多く存在し、体温維持に働きます)。

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