管理栄養士 過去問
第40回(2026年)
問51 (食べ物と健康 問6)

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問題

管理栄養士試験 第40回(2026年) 問51(食べ物と健康 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

細菌性食中毒及びウイルス性食中毒に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 腸管出血性大腸菌は、テトロドトキシンを産生する。
  • エルシニア・エンテロコリチカは、0~5℃で増殖する。
  • ボツリヌス菌による食中毒は、主に鶏肉の生食により発生する。
  • セレウス菌が産生する嘔吐毒は、通常の加熱調理で不活性化される。
  • ノロウイルスによる食中毒は、冬期に比べ夏期に多発する。

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この過去問の解説 (3件)

01

細菌性食中毒およびウイルス性食中毒は、毎年、発生件数が多い食中毒です。

安全な食事提供をするために、それぞれの細菌やウイルスの特徴を学び、適切な取り扱い方法を理解しましょう。

選択肢1. 腸管出血性大腸菌は、テトロドトキシンを産生する。

不適当です。

 

腸管出血性大腸菌は、非常に強いベロ毒素を産生します。

テトロドトキシンは、主にフグがもつ動物性自然毒です。

 

✱腸管出血性大腸菌(学名:Escherichia coli)は、加熱不十分な食肉や井戸水から検出されることが多いです。

潜伏期間は2~9日と食中毒の中では比較的長いのが特徴です。(食中毒による潜伏期間の問題は、国試頻出問題です。)

主な症状は、激しい腹痛と血便です。

この症状は、非常に強いベロ毒素が大腸の粘膜を傷つけ、血管を破壊するために起こります。

免疫機能が弱い小児や高齢者が腸管出血性大腸菌に感染すると、4~15日後溶血性尿毒症症候群(HUS:Hemolytic uremic syndrome)を発症する可能性が高まります。

 

ベロ毒素は熱に弱いため、腸管出血性大腸菌を予防するためには、食肉を加熱する際に中心温度75℃以上/1分間以上しっかり加熱することが重要です。

さらに、二次汚染を防ぐために、生肉と生食野菜では調理器具を使い分けることが重要です。

選択肢2. エルシニア・エンテロコリチカは、0~5℃で増殖する。

適当です。

 

✱エルシニア・エンテロコリチカ(学名:Yersinia enterocolitica)は、Yersiniaceae科のグラム陰性の桿菌です。

エルシニア・エンテロコリチカの最大の特徴は、0~4℃でも発育できる低温細菌であることです。

そのため、冷蔵庫に入れていたとしても、食中毒を引き起こす原因になります。

原因食品は、汚染された生の食肉(特に豚肉)や殺菌されていない飲料水が挙げられます。

潜伏期間は2~5日と標準的で、激しい腹痛や下痢・発熱・嘔吐を伴います。

 

エルシニア・エンテロコリチカは、熱に弱いため、食中毒を防ぐために中心温度75℃以上/1分間以上の加熱が重要です。

選択肢3. ボツリヌス菌による食中毒は、主に鶏肉の生食により発生する。

不適当です。

 

ボツリヌス菌による食中毒は、主にいずしや瓶詰・缶詰が原因になります。

鶏肉の生食を原因とする食中毒菌は、主にカンピロバクターがあります。

 

✱ボツリヌス菌(学名:Clostridium botulinum)は、酸素が全くない環境でしか増殖できない偏性嫌気性の芽胞形成菌です。

ボツリヌス菌の最大の特徴は、増殖の際に強力な神経毒のボツリヌス毒素を産生し、さらに、環境が悪い場所では身を守るために芽胞を形成するところです。

ボツリヌス毒素自体は熱に弱いですが、芽胞は一般的な加熱では死滅せず、121℃/20分以上の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)等の処理をしなければ死滅しません。

 

✱ボツリヌス菌を原因とする食中毒の代表例が「乳児ボツリヌス症」です。

これは、腸内細菌叢が未熟な乳児が、ボツリヌス菌の芽胞を経口摂取することで、腸内でボツリヌス菌が増殖し、筋肉の弛緩性麻痺を引き起こす症候群です。

このような事例があるため、厚生労働省は、1歳未満の乳児にはちみつを与えないよう注意喚起を促しています。(はちみつが代表として挙げられているのは、包装後に加熱処理を行わないためです。)

選択肢4. セレウス菌が産生する嘔吐毒は、通常の加熱調理で不活性化される。

不適当です。

 

セレウス菌が産生する嘔吐毒は、通常の加熱調理で不活性化しません。

 

✱セレウス菌(学名:Bacillus cereus)は、酸素の有無に関わらず増殖できる通性嫌気性の芽胞形成菌です。

セレウス菌は、土壌やほこり・水など様々な生活閾に存在しています。

セレウス菌の特徴は、芽胞を形成するため熱に強いところと、2種類の毒素があるところです。

セレウス菌には、①嘔吐型②下痢型の二種類の毒素があります。

 

①嘔吐型は、菌が食品中で増殖し、発生した毒素(セレウリド)を経口摂取によって体内に入ることで発症する毒素型の食中毒です。

原因食品は、チャーハンやスパゲッティ等の炭水化物を多く含む食品が挙げられます。

潜伏期間は、1~5時間と非常に短く、吐気や嘔吐・腹痛を起こします。

 

②下痢型は、経口摂取により体内に入った菌が腸内で増殖しながら毒素(エンテロトキシン)をだすことで発症する感染型食中毒です。

原因食品は、常温保存した肉料理やスープです。

潜伏期間は、6~15時間で、水様便や腹痛を起こします。

選択肢5. ノロウイルスによる食中毒は、冬期に比べ夏期に多発する。

不適当です。

 

ノロウイルスによる食中毒は、夏期にくらべて冬季に多発します。

 

✱ノロウイルス(学名:Norovirus)は、 気温・湿度が低い環境下では感染力が高く、生存期間が長くなるといわれています。

そのため、1年間の中でも特に冬季の感染率が高いとされています。

原因食品は、主にカキなどの二枚貝です。

しかし、汚染食品の経口摂取のみならず、感染者の吐しゃ物や便による二次汚染による感染も引き起こされます。

潜伏期間は、24~48時間で、激しい吐気や嘔吐、下痢を引き起こします。

 

✱ノロウイルスによる食中毒を防ぐには、消毒と加熱処理による不活化が重要です。

ノロウイルスは、エンベロープをもたない「ノンエンベロープウイルス」でありアルコール消毒は効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒するのが最も有効です。

加熱処理では、ノロウイルスは熱に比較的弱いため、食品や器具を85~90℃/90秒間以上加熱することが有効です。

まとめ

こちらの細菌性食中毒とウイルス性食中毒についての問題では、ウイルスの特徴を掴むと回答率が上がります。

特に、原因となる食品や経路は何か、芽胞の有無、菌やウイルスが好む生存環境をおさえることが重要です。

また、近年では、英語表記の学名で出題される傾向があるため、学名も一緒に学びましょう。

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02

食材を調理・加工するうえで、食中毒を予防することは大変重要です。

食中毒の種類とそれぞれの特徴を理解することで、正しい予防策を講じることができます。

選択肢1. 腸管出血性大腸菌は、テトロドトキシンを産生する。

不正解
腸管出血性大腸菌が産生するのは、ベロ毒素です。

テトロドトキシンはフグ中毒の原因となる自然毒で、フグの肝臓や卵巣に蓄積されています。

選択肢2. エルシニア・エンテロコリチカは、0~5℃で増殖する。

正解
エルシニア・エンテロコリチカは主に豚、犬、猫、ネズミの腸管や自然環境中にいる細菌です。

汚染された肉(特に豚肉)や、二次汚染された食品を食べることで食中毒をが発生します。

この菌は0~5℃で増殖するので、食品を冷蔵庫内で保存していても増殖します。

選択肢3. ボツリヌス菌による食中毒は、主に鶏肉の生食により発生する。

不正解
ボツリヌス菌による食中毒は、主にびん詰・缶詰(特に自家製のもの)、容器包装詰め食品で発生します。

ボツリヌス菌は嫌気性細菌で、低酸素状態で芽胞を形成し、毒素が産生されます。

鶏肉の生食で発生する食中毒は、カンピロバクターによるものです。

選択肢4. セレウス菌が産生する嘔吐毒は、通常の加熱調理で不活性化される。

不正解
セレウス菌は、自然環境や農畜水産物等に広く分布している土壌細菌のひとつで、主に炒飯やピラフなどの米飯の調理食品の食中毒の原因となります。

この菌は室温(20~25℃)で増殖し、食品中で10万個以上に増殖すると嘔吐毒を産生します。

嘔吐毒は熱抵抗性があり、126℃でも破壊されず、酸やアルカリにも強い物質です。

よって、通常の加熱調理では不活性化されません。

選択肢5. ノロウイルスによる食中毒は、冬期に比べ夏期に多発する。

不正解
ノロウイルスによる食中毒は、夏期に比べ冬期に多発します。

調理した人がノロウイルスに感染していた場合、その人の手から食品にノロウイルスが付着し、その食品を食べることで食中毒の症状が起こります。 

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03

食事を準備・管理するうえで最も大切なことは、食中毒について確実に理解し、食中毒を起こさないということです。

様々な細菌およびウイルスの発生、活動条件等を理解しましょう。

選択肢1. 腸管出血性大腸菌は、テトロドトキシンを産生する。

腸管出血性大腸菌はベロ毒素を産生します。

テトロドトキシンはふぐ毒に含まれる神経毒です。

選択肢2. エルシニア・エンテロコリチカは、0~5℃で増殖する。

エルシニア・エンテロコリチカは、豚や犬、猫などの腸管内や自然環境に存在している細菌で、動物のフンなどを介して汚染されます。

汚染された食肉や飲料水を摂取することで感染します。

0〜4℃で発育可能で、冷蔵庫内での食品保管でも増殖し、食中毒を引き起こします。

選択肢3. ボツリヌス菌による食中毒は、主に鶏肉の生食により発生する。

ボツリヌス菌は土壌などに広く存在する細菌です。

偏性嫌気性細菌で、嫌気的に増殖する際に強力な神経毒を作り出し、この摂取により重篤な神経障害を引き起こします。

そのためボツリヌス菌による食中毒は、瓶詰めや真空パックにされた食品で多く発生します。

また、芽胞という殻を生成し、これは100℃の加熱でも死滅しないため注意が必要です。

選択肢4. セレウス菌が産生する嘔吐毒は、通常の加熱調理で不活性化される。

セレウス菌による嘔吐型食中毒は、菌が産生する毒素「セレウリド」を摂取することで引き起こされます。

毒素は非常に熱に強く、通常の加熱処理では不活化されません

選択肢5. ノロウイルスによる食中毒は、冬期に比べ夏期に多発する。

ノロウイルスによる食中毒は、冬期に多発しています。

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